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第62回ここまで来た。だからこそ、ここからが本番だ。
2026.06.03
第62回ここまで来た。だからこそ、ここからが本番だ。
5月17日、私たちワンダーストレージホールディングスにとって、大切な創業の日でした。そして4月末には、ひとつの決算を終えました。創業の日を迎え、決算を越え、また新しい一年が始まるこの時期に、私は毎年、少し立ち止まります。
今から15年前。この会社は、たった一人で始まりました。資本金はキャッシングした20万円。人もいない。お金もない。人脈もない。後ろ盾もない。掲げたモデルは、世の中からそんなもの福祉じゃない真っ向から否定・非難される。そんなことばかりの創業期でした。あるのは、「このままでは終われない」という想いと、「自分たちの力で未来を変えるしかない」という覚悟だけでした。
正直に言えば、創業当時、今のような会社になるとは想像もしていませんでした。700人を超える仲間がいて、医療、介護、障がい福祉、食、住まい、教育、地域の支え合いにまで事業が広がり、地域の中で多くの方々の暮らしに関わる会社になる。そんな未来を、最初から描けていたわけではありません。
だから今、「ワンダーさん」「うるおいさん」「ぐろーあっぷさん」と、地域やマーケットの中で気軽に読んでいただけることでも、本当に嬉しく思っています。名前を覚えてもらえること、声をかけてもらえること、必要としてもらえること。それは、昔の私たちからすれば信じられないほどありがたいです。
そして、創業者として一番うれしいことは何かと聞かれれば、それは「先行投資にお金を使えるようになったこと」です。創業期は、お金を借りることも簡単ではありませんでした。やるべきことが見えていても、先行投資ができない。新しい物件を始めるたびに、私や柴田、滝波は顔を見合わせて、「しばらく寝れないね」と言葉にしなくてもわかるような日々が続きました。
本当は、もっと準備したい。人も採用したい。仕組みも整えたい。教育にも投資したい。でも、お金も時間も、人も足りない。だから、いつも考えていたのは、「何をやるか」だけではありませんでした。「何をやらない代わりに、何を前に進めるか」という取捨選択でした。
その時代、会社に対して厳しい言葉を言う人もいました。否定する人もいました。文句を言って辞めていく人もいました。もちろん、当時の私たちに足りないものもたくさんあったと思います。でも、正直に言えば、我々もどうしようもなかったのです。守りたい未来はある。やりたいこともある。でも、できることには限界がある。その中で、毎日ギリギリの判断をしながら前に進むしかありませんでした。
だからこそ、あの苦しい時代を一緒に歩んできてくれた方々には、本当に感謝しかありません。完璧ではない会社を信じてくれた人。十分ではない環境の中で踏ん張ってくれた人。まだ形になっていない未来を、一緒に見ようとしてくれた人。その存在があったから、今のワンダーストレージホールディングスがあります。
そして今、ここまで来られたのは、私一人の力では絶対にありません。現場で顧客の皆様と向き合ってくれている皆さん。ご家族の不安に寄り添ってくれている皆さん。夜勤で安心を守ってくれている皆さん。食事をつくり、掃除をし、送迎をし、記録を書き、電話を受け、請求をし、採用をし、広報をし、会社の見えない部分を支えてくれている皆さん。その一人ひとりの仕事が、会社の信用になり、文化になり、未来になっています。
4月末で一つの決算を終えた今、私は改めて思います。決算とは、単なる数字の締めではありません。この一年、私たちがどれだけ挑戦し、踏ん張り、地域に必要とされ、仲間を支え、そしてどれだけ課題を残したのか。それを正面から見るための節目です。うまくいったこともあります。まだまだ足りないこともあります。悔しさが残ることもあります。でも、私ははっきり言えます。ワンダーストレージホールディングスは、確実に前へ進んでいます。
会社が大きくなるということは、楽になるということではありません。むしろ、責任は重くなります。期待も大きくなります。求められる水準も上がります。地域から見られる会社になります。顧客の皆様やご家族様から、さらに信頼を求められる会社になります。働く仲間にとっても、ただの職場でなく、人生の大切な時間預ける場所になります。
そして会社が大きくなる中で、私が絶対に失いたくないものがあります。それは、「本社だから偉い」「現場だから下」というような、意味の分からない考え方を持たないことです。私はそういう発想が大嫌いです。
ワンダーストレージホールディングスは、今まで、「全員現場、全員営業」でやってきました。現場で起きていることを自分ごとにする。顧客の皆様やご家族の声を、自分の仕事として受け止める。部署や役職に関係なく、会社を良くするために動く。その積み重ねで、ここまで来ました。
第16期に進める機能配置型人事は、単なる組織変更ではありません。原点回帰です。役割を明確にし、責任を明確にし、誰か一部の人だけが頑張る会社ではなく、全員で稼ぎ、全員で支え、全員で未来をつくる会社に戻すための取り組みです。
今、ようやく私たちは「未来に向けて投資する」というステージに立ち始めています。これは当たり前のことではありません。先行投資ができるということは、これまでの現場の積み重ね、仲間の努力、顧客の皆様からの信頼、地域からの期待、そして苦しい時代を乗り越えてきた歴史の上に成り立っています。
だからこそ、今期の投資は単なるお金の使い方ではありません。人を育てるための投資。仕組みを整えるための投資。地域の困りごとを解決するための投資。働く仲間がもっと誇れる会社になるための投資。顧客の皆様にもっと安心を届けるための投資です。つまり、未来への責任です。
私たちの使命は、ただ事業を増やすことではありません。困った人が、困ったままにならない地域をつくることです。「大丈夫」が連鎖する社会をつくることです。隣のそのまた隣も笑顔にすることです。この言葉は、現場で働く皆さんの日々の仕事そのものです。
だからこそ、私は皆さんにお願いがあります。今期、もう一段、強くなりましょう。誰かに言われたからやるのではなく、自分の役割を自分で考える。不満を言うだけでなく、改善の一歩を出す。できない理由を探すのではなく、どうすればできるかを考える。仲間のせいにするのではなく、自分がチームに何を足せるかを考える。
完璧である必要はありません。失敗してもいい。悩んでもいい。迷ってもいい。不器用でもいい。でも、素直でいてほしい。学ぶ姿勢を失わないでほしい。仲間を大切にしてほしい。顧客の皆様の人生に関わっている責任を忘れないでほしい。そして、自分の仕事に誇りを持ってほしい。
会社は、社長一人ではつくれません。会社は、現場でつくられます。文化は、日々の言葉でつくられます。信頼は、一人ひとりの行動でつくられます。未来は、今この瞬間の積み重ねでつくられます。
ここまで来た。でも、ここがゴールではありません。ここまで来たからこそ、ここからが本番です。
私は、ワンダーストレージホールディングスを、働く人が誇れ、地域から必要とされ続け、困った人が困ったままにならない地域をつくる会社にしていきます。そのためには、皆さん一人ひとりの力が必要です。
どうか今期も、一緒に進んでください。もっと強く。もっと優しく。もっと誠実に。もっとワクワクする会社へ。そして、隣のそのまた隣の人も笑顔にする会社へ。
今期も、どうぞよろしくお願いします。

佐藤 肇祐Sato Keisuk
ワンダーストレージホールディングス株式会社
代表取締役 兼 CEO
株式会社セブンブレンチ 代表取締役